朝起きたら虫になっていたザムザ氏も驚いただろうが、鼻がなくなっていたコワリョフ氏も驚いた。
顔の真ん中にはポッカリ穴があき、そのままでは仕事にも出られない。
しかも、なくなった自分の鼻が自分より偉い官吏の制服を来てテクテク町を歩き回り、ペテルブルクの町中の話題になっているのだから大変です。
警察や新聞社に行って鼻の失踪届を出し、警官を動員して鼻を保護してもらうのだが、鼻を取り戻してもどうしても顔にくっつかない。
挙げ句また逃げられてしまうのです。
確かにこれは本人にとってはとんでもない深刻な事態に違いありません。
しかし、他人から見る限りこんな面白い喜劇はない。
最後は、また突然朝起きたら鼻は元通りになっていて話はアッケなく終わるのだが、この奇妙な事件が一体どうして起こったのか?こんな話を書いて作者は何を言いたかったのか?あるいはこのバカバカしいオペラで作曲者は何を風刺したかったのか2それらの疑問が出演者から投じられるものの、結局すべてはハテナ?のままで閉じられます。
すっとぼけた音を次から次へと繰り出すオーケストラにしろ、ドタバタと舞台上に現れる烏合の衆そのものの群衆にしろ、すべてが無声映画風のナンセンスに縁どられているという、なかなかブッとんだ不条理オペレッタです。